子どもの整形外科疾患と予防医学・分離症
最近、分離症でご来院される方が多いです。
分離症の好発年齢は成長期になります。
分離症に対する治療の中心は安静と股関節周囲の柔軟性と腰部に加わる負担の軽減になりますが、出来れば分離症になる前に予防出来ればといつも思います。
題が分離症の予防となっていますが、この記事を見ている方はすでに分離症になっているかなっている方が身近にいる方ではないでしょうか。
分離症の予防
簡単に言ってしまえば身体を柔らかくしておけば基本的には予防できます。
骨の代謝異常などの病気、特殊な動き(雑技団)を除けば柔軟性の問題です。
子どもなのに身体が硬いの?と思われている方もいると思いますが、大人の硬いと子どもの硬いは身体の状況が違います。
大人の身体の硬さは、拘縮の疑いがあり組織の癒着が考えられます。
子どもの身体の硬さは、骨の成長が進み筋肉の伸張性が足りないことが考えられます。
筋肉の伸張性が足りない状態は、組織の癒着よりも改善しやすいので改善も早いです。
湿布を貼ったり痛み止めを飲んだりコルセットを着けている方もいますが、間違いではないとは思いますが、それでは柔軟性は一向に変わりません。
湿布や痛み止めは痛みを止めるものであって身体を柔らかくするものではありません。
コルセットは痛みを和らげたり動きの制限で補助してくれますが動きの制限をするので身体を柔らかくするものではありません。
身体を柔らかくして骨への負担を減らしていくことが重要になります。
痛みを止めることはとても大切なことではありますが、分離症になる原因を改善してあげることが根本的な改善につながるのではないでしょうか。
薬やコルセットなどは、いつから使っていつまで使うのか、どんなときに使うのか正しく使っていく事が大切です。
腰の負担を減らす柔軟性
腰の負担を減らすために腰を柔らかくすればいいと思われがちですが、腰の負担を減らすには肩や股関節や膝なども柔らかくする必要があります。
<肩?>
肩には広背筋がくっついています。

解剖アトラスプロメテウス
腕を上げるときに腰の筋肉を引っ張るので腰に負担がかかります。
ちょっと荷物を取ろうとしたときにぎっくり腰で痛める筋ですね。
そのときは、腰の治療よりも肩の治療を優先的に。
<股関節?>
股関節を動かすのに腰の筋肉を使っています。
代表的な筋肉が腸腰筋です。

解剖学アトラスプロメテウス
腰から股関節に着いているのが分かると思います。
腰が痛くて仰向けで寝れないときの原因にもなる筋肉です。
<膝関節?>
身体を前に倒す前屈をしたときに太ももの後ろが突っ張る経験をしたこともあると思いますが、代表的な筋肉がハムストリングス(半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋)です。

解剖学アトラスプロメテウス
ハムストリングスは股関節の動きにも関係しているので膝関節だけではありません。
座ってる時間が長い人は硬くなっていることが多い筋肉です。
代表的なものをあげてみましたが、もっと沢山の筋肉が関係していますし首や足首なども関係してきます。
細かい話はいつか機会があったときにでもしようと思いますが今日はこのあたりで。
身体の動きは一つの関節だけで行われている訳では無いですが、股関節や肩の柔軟性も腰と一緒に行っていくと改善しやすくなります。
もし腰だけの治療を行なっていてなかなか改善しないのであれば股関節や肩などにも目を向けてあげるといいと思います。
最後に
出来れば怪我をした後に心配するのではなく、元気なときこそ少し気にして身体を診てあげることが出来ればなと思っています。
すべての症状に当てはまるわけではありませんが、整形外科の症状は少しのことで予防できることもあります。
ご来院してくださった場合、親御さんにも改善の方法と予防の方法をお伝えするようにしています。
症状が無くても身体の状態の確認方法や改善方法はお伝えできます。
施術を受けなくても予防や改善させてあげられる方法はあります。
少しでもお役に立てれば幸いです。
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