変形性関節症を一度は、耳にしたことはあるかもしれません。

変形性膝関節症x-p
CMやテレビショッピングなどの健康食品でも話題になることが多いと思います。
病院でリハビリを行っているときも、「骨の変形がとし相応で仕方ないですよね」などと患者さんからも言われることもありました。
病院の先生からも「としですね」と言われたことがある方もいると思います。
とし相応?
としをとると骨が変形する。
確かにあります。
でも、よく考えてみると片足だけ変形している人が沢山います。
変形性関節症は膝が多いですが、
右膝だけとしをとって、左膝は若いのでしょうか?
そんなことを考えてみたことはないでしょうか?
骨の変形は若い方も多い
Osgood-Shhlatter(オズグッド・シュラッター)病
整形外科の疾患の中にOsgood-Shhlatter(オズグッド・シュラッター)病という症状があります。
中学生や高校生が膝下が痛いと言うと疑ってみるべき疾患の一つです。

オスグッド・シュラッター病 wikipedia
膝下、すねの上の方に骨が少し飛び出たところがあると思います。
解剖学では、脛骨粗面と呼ばれるところです。
この脛骨粗面に痛みがでる症状のことをOsgood-Shhlatter(オズグッド・シュラッター)病と呼びますが、発育期の少年少女に好発します。
部活動やクラブ活動など運動している方になることが多いです。
原因は、太ももにある筋肉(大腿四頭筋)が脛骨粗面を引っ張ることで牽引力が加わり炎症が起きます。
症状がひどくなると脛骨粗面の突出(骨の変形)と腫脹を伴った有痛性の膨隆が生じます。
これは、筋肉が疲労で硬くなり、脛骨粗面を引っ張り続けた結果、骨が変形したと言うことになります。
サッカーをやっていた方などは、利き足が大きく変形していることもあります。
この症状は、骨の変形ではありますが、年をとったから変形している訳ではありません。
歯の矯正(歯列矯正)
病気以外では、歯の矯正(歯列矯正)も骨の変形の一つです。
歯の矯正は、子どもはまだ成長期なので骨の移動(骨の変形)は早いので、子どもの頃に歯の矯正をすることが有効だとされています。
骨という組織は、絶えずつくり変えられています(これを骨のリモデリングと呼びます)ので、大人になっても歯の移動は遅いですが、歯の矯正は出来ます。
骨の変形(歯の矯正)の原理は、骨に強い力を継続的にかけると、変形しながら作り変えられるのを利用しています。
この事からも骨は、子どもの方が変形しやすいことが分かると思います。
しかし実際、子どもの膝のレントゲン写真を見てみると変形は、ほとんどありません。
なぜ年を重ねていくほどに変形が進むのでしょうか。
骨の変形は力
骨の変形は「とし」が原因なのではなく、歯の矯正を例にあげましたが、強い力が加わることが原因です。
もちろん厳密に考えると、リモデリングで栄養や環境などの影響があるため、力だけではありませんが、右膝、左膝と左右差がある場合は、膝に加わる力が原因であることがほとんどです。
では、なぜ年相応と言う話がでてくるのでしょうか?
人は「とし」をとるにつれて効率よく動くようになります。
なるべく疲れないように、小さな動きで済ますように動きます。
動いている時間は長いかもしれませんが、関節を動かしている範囲や量は子どもに比べて圧倒的に少なくなります。
関節の動きが少なくなると、次第に関節は硬くなり、曲げない関節から曲らない関節になって行きます。
関節が硬くなると、骨に強い力が加わりますので変形しやすくなっていきます。
これが「とし」をとると骨の変形が多くなる理由です。
としを取る間に関節にとって何をしてきたかが重要になるということです。
変形性関節症にならないようにするためには、関節に強い力が加わらないようにしていけば予防することが出来ます。
そのためにも関節の柔軟性を改善していくように、筋肉を柔らかくして関節の動きを大きくしてあげることが、変形の抑制につながります。
身体が硬いからと諦めるのではなく、何歳からでも柔らかくなりますので、少しずつストレッチや体操から続けてみると、予防や改善が期待できると思います。
まとめ
骨の変形は、子どもの方が変形しやすい。
骨の変形の原因は、骨に加わる力が関係している。
変形が進めば進むほど、改善が難しくなってくる。
痛みで関節を動かさない時間が経てば経つほど、関節の拘縮が起こり治り難くなる。
筋肉や関節を柔らかくすることで、変形性関節症を予防することにつながる。
最後に、
関節の痛みに対しての治療は、いろいろあります。
関節注射を行ったり、低周波治療器を使ったり、薬や湿布を使ったり。
どの治療が効果があり、どの治療が正しいと言う事は、その症状によって変わります。
もし、今治療している薬や注射、電気治療があまり効果を感じないようであれば、他に方法がないのか考えてみてもいいかもしれません。
としだからとそのまま治療を続けるのではなく、解剖学的に、医学的に、症状を理解した上で治療を行うことで、少しは改善する助けになるかもしれません。
※医学に絶対はありません。
※すべてを保障するものはありません。